不動産業界のWeb担当者の皆様へ。
オウンドメディアを運営する貴社は今、このようなモヤモヤを抱えていないでしょうか。
記事数は増え、検索からのアクセスも伸びてきた
しかし、問い合わせや資料請求といったCVはほとんど増えない
競合のメディアを見ても、似たような内容の記事ばかりで、「どこも同じ」に見える
多くの会社がこの状態で止まっています。
結論から言うと、不動産のような専門性の高い領域では、「集客のためのSEO」だけではCVは伸びません。
アクセスを集めた”その先”で、読者の不安を解消し「この会社に任せてもいい」と思ってもらうための、書き方の工夫が必要です。
本記事では、宅建業法を単なる「守らなければいけないルール」ではなく、「読者の不安を減らすための武器」として扱い、PV至上主義のメディアから「成約につながるメディア」へ切り替えるための書き方を、具体例と合わせて解説します。
- PVが集まるのにCVにつながらない、よくある構造的な原因
- 宅建業法を「読者の不安を減らす説明」に変える考え方
- 専門知識をCVに直結させるための3つの原則
- 「当たり障りのない記事」を「問い合わせにつながる記事」に書き換える例
- PVを追うだけの運用から、「専門性で選ばれるメディア」に切り替える方法
なぜ貴社の記事は「読まれるだけ」でCVしないのか?

「PVは伸びているのに、問い合わせが増えない」。
この状態には、よくあるパターンがあります。
「集客(PV)」と「成約(CV)」は別問題
多くのWeb担当者が最初に陥るのが、「PVを増やせばCVも増えるはず」という考え方です。
- PV(ページビュー)
-
- 記事が何回読まれたかを示す数字
- 「入口の広さ」を表す指標
- 増えれば「見つけてもらえていること」はわかるが、売り上げに直結するとは限らない
- CV(コンバージョン)
-
- 問い合わせ、無料相談、資料請求など、「次の一歩」を踏み出した回数
- 読者が「この会社なら大丈夫そうだ」と判断した結果
- 増えれば、メディアがビジネスに貢献している証拠
検索上位を狙うためのキーワード選定や内部施策は、どちらかといえば「PVを増やす仕組み」です。一方で、問い合わせボタンを押すかどうかを左右するのは、「この会社に任せて大丈夫か」という感情です。
不動産のような高額な取引では、読者は記事を読みえた瞬間に、次のような不安と向き合います。
「この会社に問い合わせして、本当に損をしないだろうか?」
「自分が知らない専門知識を理由に、不利な契約にされないだろうか」
この不安が解消されていないと、どれだけPVがあっても、問い合わせにはつながりません。集客の技術と、読者の不安を解消して成約まで導く技術は、別々に設計する必要があります。
不動産業界で「どこも同じ」と見なされる記事の特徴
不動産ジャンルのオウンドメディアを眺めてみると、次のような記事が多く見つかります。
- 「プロが教える○○のコツ」「初めての不動産投資で失敗しないために」といったタイトル
- 内容は、ネットで調べればすぐに出てくる一般的な注意点のまとめ
- 宅建業法や契約の話に触れても、「重要事項説明で説明します」といった表面的な説明に留まる
読みやすさを意識するあまり、法律用語や条文の説明を極力避けてしまうケースも多いはずです。しかし、その結果として、
- 内容がどこも似通ってしまう
- 「この会社ならでは」の専門性が見えない
- 高額な取引を任せる相手としては、心もとない印象になる
という状況を招きがちです。
読者は、人生に関わる大きな意思決定のパートナーを探しています。その時に求められているのは、「誰にでも書ける一般論」ではなく、「トラブルが起きやすいポイントを理解し、法律も含めてリスクを一緒に考えてくれる相手かどうか」という視点です。
この視点が欠けたまま「分かりやすさ」だけを追いかけた記事は、残念ながら比較対象にも上がりません。
アクセスを「信頼」に変える近道は、読者の不安を言葉にしてあげること

では、「プロとして信頼できる会社」の候補に入るには、何を書けばいいのでしょうか。
ポイントはとてもシンプルです。
- 読者が本当に怖がっているのは「損をすること」
- 宅建業法は「安心して相談できる相手」を示す材料
読者が本当に怖がっているのは「損をすること」
不動産の購入・売却・投資で、読者が一番恐れているのは、突き詰めると次の二点です。
- 知らないうちに損をしてしまうこと
- あとからトラブルになり、時間もお金も奪われること
そして、その多くは「法律や契約の内容を理解していなかった」ことから起こります。
だからこそ、「どこまで説明する必要があるか」「どこからが自己責任になるか」を決めている宅建業法は、読者の不安を減らすための材料になります。
宅建業法は「安心して相談できる相手」を示す材料
現場の感覚として、宅建業法は次のように捉えられがちです。
- 必ず説明しなければいけないことが決まっている
- 広告や表現の仕方にも制限がある
- 守らないと行政処分につながる
つまり、「守らないと怒られる」ルールです。
一方で、読者が見ているのは別のポイントです
- 自分に不利な条件を黙って進めない会社か
- 専門知識の差を利用して、気づかないところで損をさせない会社か
このギャップを埋めるのが、宅建業法を「第三者が決めたルール」として説明に組み込む書き方です。
例えば、次のような一文があるだけで、読者の印象は変わります。
宅建業法上、重要事項説明の場面では、ここまで説明する義務があります。
当社ではそれに加えて、売主様・買主様が後からトラブルになりやすいポイントも、事前にすべてお伝えしています。
ご契約前には事前に契約書のドラフトもお渡ししていますので、ご不安点がありましたら何度でもご相談ください。
ここまで書くと、
- 会社の都合ではなく、法律に沿って判断している
- そのうえで、トラブルを防ぐために一歩踏み込んだ説明をしている
という姿勢が伝わります。
単に「宅建業法を守っています」とだけ書いても、差別化にはなりません。どの会社も守っている”はず”だからです。
「この条文を、現場ではこう解釈し、こういう理由で追加説明までしています」と書いてこそ、「守りのルール」は「安心して相談できる相手」を示す材料に代わります。
専門知識で「信頼」を勝ち取る CVR改善ライティング3つの原則

ここからは、実際に記事を書くときに意識したいポイントを3つに絞ってお伝えします。
- 原則1:アクセスを集めるテーマではなく「法的リスクのテーマ」を軸にする
- 原則2:読者の「よくある不安」に、条文と実務を1対1で対応させる
- 原則3:法律の決まりだけで動くのではなく、リスクと向き合う姿勢を言葉にする
原則1:アクセスを集めるテーマではなく「法的リスクのテーマ」を軸にする
不動産ジャンルでは、「高く売るコツ」「初心者でもできる○○」といった”無難なテーマ”だけ追いかけていると、どうしても他社と似た記事になります。
そこでまず意識したいのが、アクセス狙いのテーマではなく、「法的リスクをどう避けるか」というテーマを軸に据えることです。
- 契約不適合責任
- 告知義務
- 囲い込み
など、トラブルのタネになりやすいキーワードを主役にした見出し・構成に切り替えることで、「この会社は面倒なところまでちゃんと話してくれる」という印象を与えられます。
原則2:読者の「よくある不安」に、条文と実務を1対1で対応させる
次に、読者の不安を「質問の形」にして並べ、その一つ一つに宅建業法や関連制度を対応させていきます。
- 「購入後に、あとから追加費用を請求されないか?」
-
→ どの条文・重要事項説明に関係するのか
→ 当社としてどこまで事前に説明しているか
というように、「不安×条文・実務」の形で構成していくと、読者は自分の心配事に近い箇所から読み進められ、結果として「この会社は、自分が抱いている不安を理解している」と感じてもらいやすくなります。
原則3:法律の決まりだけで動くのではなく、リスクと向き合う姿勢を言葉にする
不動産の記事では、「宅建士が在籍しています」「経験豊富なスタッフが対応します」といった資格や経歴を示すだけでは、読者の不安は解消されません。読者が知りたいのは、資格の有無よりも、「どんな姿勢でリスクに向き合ってくれる会社なのか」という点です。
法律に沿って判断するのは大前提として、その法律が作られた背景まで理解し、読者が気づきにくいリスクをどう扱うのか。ここにこそ、プロとしての信頼の差が生まれます。
例えば、
法律上は「任意」とされるインスペクションにつてい、当社では売主様の将来のトラブルを避けるために、原則として実施をご提案しています。
このように、「法律で決まっているからやる」のではなく、「お客様の不利益を減らすためにどう判断するのか」を言葉にすることが、最もストレートに信頼を伝える方法になります。
【改善シミュレーション】「読まれるだけ」の記事を「CVする」記事に書き換える

それでは、具体的な文章を見ながら、「どこをどう変えるとCVに近づくか」を確認してみましょう。
(Before)「当たり障りのない」不動産売却記事
【見出し】
プロが教える!不動産売却を成功させる3つのポイント
【本文】
不動産を売るのは一生に何度もない経験なので、不安に感じる方も多いと思います。
でも大丈夫です。売却をスムーズに進めるためには、次の3つのポイントを押さえるだけで十分です。
1つ目は、実績のある不動産会社に相談すること。
2つ目は、複数の会社に査定を依頼して比較すること。
3つ目は、内覧に備えてお部屋を整理整頓しておくことです。
当社では、売却活動の流れを分かりやすくご説明し、お客様の不安に寄り添いながらサポートいたします。初めての売却でも安心して進められるよう、無料査定フォームをご用意していますので、お気軽にご相談ください。
一見すると問題のない文章ですが、
- どの会社のサイトにもありそうな一般論で終わっている
- 売主が本当に怖がっている「売却後のトラブル」に触れていない
- 「寄り添う」「安心」といった言葉に根拠がない
という状態になっています。このままでは、「この会社でなければならない理由」が読者に伝わりません。
(After)「信頼される」不動産売却記事
【見出し】
「契約不適合責任」で失敗しないために。宅建業法を踏まえた売却リスク回避の考え方
【本文】
不動産売却で売主様が最も注意すべきなのは、売却「後」に買主から『契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)』を問われることです。
契約不適合責任とは、契約書に記載のない欠陥(例:雨漏り、シロアリ被害)が後から見つかった場合に、売主様が買主に対して、修繕費や損害賠償の責任を負うというものです。このリスクを軽く見て売却を進めてしまうと、後に数百万円単位の負担が発生するケースもあります。
当社では、売主様を契約不適合責任のリスクから守るため、法律上は任意とされている『建物状況調査(インスペクション)』の実施を積極的にご提案しています。売却前に建物の状態とリスクを把握し、必要に応じて飼い主様へ開示したうえで取引を進めることが、売主様を守る最善策だと考えているからです。
大切な資産を安全に売却し、将来のトラブルを避けながら確実に現金化するには、「いくらで売れるか」ではなく、「どんなリスクを抱えているか」を知ることが欠かせません。
お手持ちの物件がどのような法的リスクを抱えているのか、まずは一度、専門家に確認してみませんか。
このように書き換えることで、
- 「損失リスク」を言葉にしている(原則1)
- 契約不適合責任とインスペクションという、具体的な法律・制度を使って不安を減らしている(原則2)
- 「任意の制度をあえて活用する」という姿勢で、読者にプロとしての覚悟を示している(原則3)
といった要素が、自然と盛り込まれます。
PV至上主義から脱却し、「専門性」でCVRを高めるメディア戦略へ

今、不動産メディアに求められているのは、「たくさん読まれること」ではなく、「安心して相談できる会社だと伝えること」です。
ツールの進化により、表面的な情報をわかりやすくまとめた記事は、すぐに真似できるようになりました。
その中で読者が求めているのは、『自分の状況に近い例を踏まえて、将来起こり得るトラブルや損失を正直に教えてくれる、法律面も含めて一緒に考えてくれそうな会社』です。
小手先の施策だけでPVだけ追いかけても、「どこも同じ」と感じた読者は、より専門的な解説をしているサイトへと離れていきます。
これからの不動産オウンドメディアに必要なのは、
- “どこが読者の不安につながりやすいか”を押さえた構成
- 読者の不安に条文と実務で答える本文
- 「どのリスクにどこまで踏み込む会社なのか」を説明する方針
といった、「専門性をそのまま伝えるための設計」です。
専門記事の「信頼性」と「CVR」でお悩みなら、まずは無料相談へ

もし貴社が
- オウンドメディアへのアクセスはあるのに、問い合わせが増えない
- 記事ごとに何を改善すればいいのか、社内で判断しきれない
- これからメディアを立ち上げるにあたって、最初から「CVしやすい構成」にしておきたい
こうした悩みを抱えているなら、一度、専門家の視点で棚卸をしてみませんか?
宅建保有ライターである私、村田よしみは、
- 宅建業法や判例を前提にした記事設計
- 既存記事の「不安の取りこぼし」チェック
- 立ち上げ段階からのキーワード設計~構成~執筆~入稿
といった形で、不動産オウンドメディアの伴走支援を行っています。
まずは、現在のメディアの状況や方針を簡単に教えてください。宅建業法と、取引で注意すべきポイントを踏まえて、どこからつけるとCVに近づくか分析してお伝えします。
無料相談フォーム、またはメールからご連絡いただけますので、ぜひお気軽にご活用ください。
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